iPhone を修理した時に湧いた情について
正月に親戚が集まった。
吉祥寺の居酒屋の掘りごたつで、せっせと席につく。
やれ、去年は○○ちゃんが結婚したとか、
就職が決まらないとか、彼氏は一体いつになったら出来るんだなどと、たわいもない話が続く。
事件はその時に起きたのである__
普段聞かない音が出た。
膝「バリッ」
バーフバリのバリではない。
マヘンドラでも、アマレンドラでも、バーフバリではない。
音の犯人は最愛なるパートナー。
iPhoneだった。
画面が割れた。初めてだった。まさか膝で割るとは。
損傷は画面のみで、それ以外の操作に差支えはない。
ただ見た目が、あまり良いとは言えない状態。
約2ヶ月、画面の交換を渋った。
めんどくさい、めちゃめちゃめんどくさい。
まずGeniusbarを予約しないといけない。
なにだそのおしゃれな名前は、アップル修理店、じゃだめなのか?
そしてファッショナブルでシンプルな予約画面はなんだ
もうちょっとダサくて親しみのある画面じゃだめなのか、あなたは何人目の......みたいな。
昔の黒歴史同人サイトみたいな。キリ番踏んだら修理無料みたいな。ないね。
そして今日。ついに。ジェニェァァェォェスブェハァに行ってきた。大都会某所。
なにやら難しいことを言われて3割くらいしか理解出来なかった。おしゃれ用語を連発するな。
画面修理ではなく、本体交換という形で手続きしますのでお待ちくださいと言われ敷設されている席に腰をかける。
ふと、交換を待っている間に思った。
iPhoneないけど今何したらいいんだ...?
何をして過ごせば......?
カバンの中には化粧品、財布ハンカチ、ノートしかない。
あまりに手持ち無沙汰過ぎてカフェラテを頼んでみたりした。美味しい。
ノートに書き物でもする?
ボールペンないけど......
財布のレシートを整理して家計簿をつける?
アプリ......
明日以降の予定確認する?
アプリ....
ブログの更新する?!
アプ......d%tjvyiodxaaaaaaa@@@!!!!!
そして気がついた。
依存しすぎでは?本の1冊も入ってない?iPhone無くなったら一体全体どうなってしまう?
もしかして米津玄師のlemonの歌詞は壊れたiPhoneと持ち主の曲だったりする?
とかなんとか考えていると新品がやってきた。
お待たせ致しましたーとか言われて、プラスチックのピロピロがついたピカピカの新品が!
やったー!これでもう安心だー!と思って支払い済ませて説明聞いて
いざ、
iPhone「こんにちは。パスワードを設定してください。指紋を登録してください」
..............
え、なんにも、なんにも覚えてないの....?
バズって通知まみれでアツアツになったり、寝落ちしたおつよを起こしてくれたり、仕事で見知らぬ地に行った時にやたらヘイシリ!ヘイシリ!したのも、覚えて......覚えてないの......?!??!
写真の思い出もない、普段聞いてる音楽も、映画のレビューも、Twitterもアカウントが登録されてない。
そこにいるのは初めましてのiPhone。
ここで初めて、この感情は喪失感であると気づく。
きっと好きな人と会えなくなったり、
大事にしていたものをなくしたりした時に湧くやつ。
これか。これだよ。
なんだかんだ一番のバディ。おつよのことはなんでも知っている。
起きる時間も、気持ち悪い顔でソーシャルゲームのガチャを回していることも。養命酒スタンプを友人に送り付けていることも。
そのiPhoneがもう、もういない。
そう思ったら帰りの電車でひどく落ち込んで、はやくバックアップの復元しようと思いました。はやくかーえろ!あっSuicaもない!
完